ベニアカリ(じゃがいも)
投稿ツリー
- ベニアカリ(じゃがいも) (solo, 2008/6/21 15:44)
- depth:
- 0
前の投稿
-
次の投稿
|
親投稿
-
子投稿なし
|
投稿日時 2008/6/21 15:44
solo
居住地: 福岡県宗像市
投稿数: 146
オンライン
登録番号:(農林)ばれいしょ農林33号、(種苗法)第5367号、(北海道)ばれいしょ北海道第26号
地方番号:北海73号
系統名 :島系556号
系統番号:84067-46
用途:食用(特にコロッケ等の業務用)
長所:いもは赤皮白肉で、高でん粉価で変色が少なく、業務用に適する。ジャガイモシストセンチュウに抵抗性。
短所:煮くずれが多く、煮物には適さない。
(1)来歴
昭和59年(1984)に北海道農試において、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性の澱粉原料用品種の育成を目標に、「コナフブキ」と同じ交配組合せから選抜された、狭義のジャガイモ(S.tuberosum)の外、S.phureja、S.chacoense、S.demissumに由来する種間雑種後代の高澱粉価系統「北海61号」を母、早生・大粒でジャガイモシストセンチュウ抵抗性の「R392-50」を父として交配し、翌年より選抜を開始した中から選抜されたものです。系統選抜までは澱粉原料用として選抜されてきましたが、いもの外観や内部品質が良く、コロッケ・サラダ等の調理品質も良好なことから食用として選抜し、平成2年(1990)に島系556号」、平成3年には「北海73号」として食用品種としての実用性を検討した結果、平成6年(1994)に「ばれいしょ農林33号」として登録され、「ベニアカリ」と命名されました。名前の由来は皮色の紅に、北海道農試がこれまでジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種の品種名に与えてきた「アカリ」を組み合わせたものです。
従来の食用品種にはないほど乾物率が高く、マッシュ、コロッケなどの用途に適する品種です。
平成14年(2002)の北海道における作付面積は59haでした。
(系譜図へ)
(2)形態的部特性
幼芽は紫で、萌芽時の葉色は「男爵薯」と同様紫を帯びます。茎長は中位で「男爵薯」より10?20cmほど長く、分枝数は「男爵薯」よりやや多く「農林1号」より少ない。茎色は紫で、緑の2次色が斑紋状に分布します。そう性は、生育前半は中間型ですが、茎が柔らかいため後半にはやや開張型となります。葉の色は濃緑。頂小葉の大きさは中で、形は細く特徴的です。小葉の大きさは中で、形はやや細く、葉縁はやや波状を呈します。葉軸は紫色を帯びます。花は赤紫系で、白の2次色が花弁の両面の先端に分布します。葯の色は橙で、花柱は低い。花粉は多く、自然結果は「農林1号」並に少程度みられます。
ふく枝は「男爵薯」より長い中で、やや長いふく枝がまれに発生することがあり、いも着生の疎密、深浅ともに中です。いもの形は楕円体です。皮色は淡赤で表皮の粗滑は「男爵薯」より滑らかでネットは無い。目の数は「男爵薯」並の中ですが、深さは浅くやや浅に属します。肉色は白で「紅丸」のような2次色は無い。
(3)生態的特性
休眠期間は「男爵薯」より長い長に属します。萌芽は「男爵薯」及び「農林1号」よりやや遅い。初期生育及び早期肥大性は「男爵薯」よりやや遅く「農林1号」並ですが、澱粉価の上昇は早い。枯凋期は「男爵薯」より遅く「農林1号」よりやや早い中生です。
上いも数はやや多く、上いも平均一個重は「男爵薯」より大きく「農林1号」より小さい個数型品種です。粒ぞろいはやや整で特々大いもはみられません。上いも収量は「男爵薯」より多く「農林1号」より少ない。澱粉価は20%前後と「男爵薯」に比べ約5ポイント高く、食用品種の中で最も高い。多肥による過繁茂や徒長は「農林1号」より少ない。貯蔵性は良い。
(4)病害虫抵抗性
ジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子H1を持ち、北海道で発生しているパソタイプRo1に抵抗性です。疫病抵抗性遺伝子R1R3を持ちますが、「コナフブキ」の普及によりこの型を侵すレースが広く発生しており、圃場抵抗性も弱いので、罹病性品種と同様の防除が必要です。そうか病、粉状そうか病、及び青枯病には「男爵薯」並に弱い。中心空洞、褐色心腐は「農林1号」並か少ない微、二次生長や裂開はみられません。
(5)品質特性
ヤスリピーラーによる剥皮歩留りは「男爵薯」より高く「農林1号」や「ホッカイコガネ」より低い。剥皮後のトリミング数は「ホッカイコガネ」より多いが「男爵薯」や「農林1号」よりやや少ない。剥皮褐変は「男爵薯」及び「農林1号」より少なく「ホッカイコガネ」よりわずかに多い。調理後後黒変の発生は「男爵薯」より少なく、肉質は「男爵薯」より粉質で、舌ざわりは「男爵薯」より粗い。蒸しいも、マッシュ、コロッケに適しており、つぶして作るいももちやハッシュドブラウン、パンケーキ、お好み焼きなどが容易に作れますが、「男爵薯」よりかなり煮くずれしやすいので煮物には不適です。蒸し時間は「男爵薯」より短くてすみます。還元糖がやや多いため、チップやフレンチフライには向きません。ビタミンC含量は「キタアカリ」より少なく、「男爵薯」及び「ホッカイコガネ」よりも2割程度多い。グリコアルカロイド含量及び曝光による増加は「男爵薯」並です。
澱粉の粒径は「紅丸」より小さく「コナフブキ」よりやや小さい。リン含量は「紅丸」より多く「コナフブキ」よりわずかに少ない。糊化開始温度は「紅丸」より高く「コナフブキ」より低い。最高粘度は「紅丸」より高く「コナフブキ」並で、ブレークダウンは「紅丸」及び「コナフブキ」より小さい。最高粘度時温度は「紅丸」より低く「コナフブキ」よりやや低い。
(6)栽培上の注意
北海道一円に適する。
・疫病の初発生が遅れ、生育後半の茎葉罹病により塊茎腐敗が増加することがあるので、疫病防除は後半まで行う。
・施肥量・栽植密度に対する反応は、多肥による過繁茂が少なく増収の傾向があるが、茎が軟らかく、倒伏や軟腐病、菌核病の発生の危険があるので、多肥栽培を避ける。
・赤皮のため、緑化いもの識別が難しいので、光を当てないように注意すること。
・食用として販売する際には適料理法を明示し、「煮くずれするので煮物には使わないよう」との注意書きをつける。
じゃがいも品種詳説 (2003年10月改訂)より抜粋
http://www.jrt.gr.jp/var/var.html
地方番号:北海73号
系統名 :島系556号
系統番号:84067-46
用途:食用(特にコロッケ等の業務用)
長所:いもは赤皮白肉で、高でん粉価で変色が少なく、業務用に適する。ジャガイモシストセンチュウに抵抗性。
短所:煮くずれが多く、煮物には適さない。
(1)来歴
昭和59年(1984)に北海道農試において、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性の澱粉原料用品種の育成を目標に、「コナフブキ」と同じ交配組合せから選抜された、狭義のジャガイモ(S.tuberosum)の外、S.phureja、S.chacoense、S.demissumに由来する種間雑種後代の高澱粉価系統「北海61号」を母、早生・大粒でジャガイモシストセンチュウ抵抗性の「R392-50」を父として交配し、翌年より選抜を開始した中から選抜されたものです。系統選抜までは澱粉原料用として選抜されてきましたが、いもの外観や内部品質が良く、コロッケ・サラダ等の調理品質も良好なことから食用として選抜し、平成2年(1990)に島系556号」、平成3年には「北海73号」として食用品種としての実用性を検討した結果、平成6年(1994)に「ばれいしょ農林33号」として登録され、「ベニアカリ」と命名されました。名前の由来は皮色の紅に、北海道農試がこれまでジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種の品種名に与えてきた「アカリ」を組み合わせたものです。
従来の食用品種にはないほど乾物率が高く、マッシュ、コロッケなどの用途に適する品種です。
平成14年(2002)の北海道における作付面積は59haでした。
(系譜図へ)
(2)形態的部特性
幼芽は紫で、萌芽時の葉色は「男爵薯」と同様紫を帯びます。茎長は中位で「男爵薯」より10?20cmほど長く、分枝数は「男爵薯」よりやや多く「農林1号」より少ない。茎色は紫で、緑の2次色が斑紋状に分布します。そう性は、生育前半は中間型ですが、茎が柔らかいため後半にはやや開張型となります。葉の色は濃緑。頂小葉の大きさは中で、形は細く特徴的です。小葉の大きさは中で、形はやや細く、葉縁はやや波状を呈します。葉軸は紫色を帯びます。花は赤紫系で、白の2次色が花弁の両面の先端に分布します。葯の色は橙で、花柱は低い。花粉は多く、自然結果は「農林1号」並に少程度みられます。
ふく枝は「男爵薯」より長い中で、やや長いふく枝がまれに発生することがあり、いも着生の疎密、深浅ともに中です。いもの形は楕円体です。皮色は淡赤で表皮の粗滑は「男爵薯」より滑らかでネットは無い。目の数は「男爵薯」並の中ですが、深さは浅くやや浅に属します。肉色は白で「紅丸」のような2次色は無い。
(3)生態的特性
休眠期間は「男爵薯」より長い長に属します。萌芽は「男爵薯」及び「農林1号」よりやや遅い。初期生育及び早期肥大性は「男爵薯」よりやや遅く「農林1号」並ですが、澱粉価の上昇は早い。枯凋期は「男爵薯」より遅く「農林1号」よりやや早い中生です。
上いも数はやや多く、上いも平均一個重は「男爵薯」より大きく「農林1号」より小さい個数型品種です。粒ぞろいはやや整で特々大いもはみられません。上いも収量は「男爵薯」より多く「農林1号」より少ない。澱粉価は20%前後と「男爵薯」に比べ約5ポイント高く、食用品種の中で最も高い。多肥による過繁茂や徒長は「農林1号」より少ない。貯蔵性は良い。
(4)病害虫抵抗性
ジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子H1を持ち、北海道で発生しているパソタイプRo1に抵抗性です。疫病抵抗性遺伝子R1R3を持ちますが、「コナフブキ」の普及によりこの型を侵すレースが広く発生しており、圃場抵抗性も弱いので、罹病性品種と同様の防除が必要です。そうか病、粉状そうか病、及び青枯病には「男爵薯」並に弱い。中心空洞、褐色心腐は「農林1号」並か少ない微、二次生長や裂開はみられません。
(5)品質特性
ヤスリピーラーによる剥皮歩留りは「男爵薯」より高く「農林1号」や「ホッカイコガネ」より低い。剥皮後のトリミング数は「ホッカイコガネ」より多いが「男爵薯」や「農林1号」よりやや少ない。剥皮褐変は「男爵薯」及び「農林1号」より少なく「ホッカイコガネ」よりわずかに多い。調理後後黒変の発生は「男爵薯」より少なく、肉質は「男爵薯」より粉質で、舌ざわりは「男爵薯」より粗い。蒸しいも、マッシュ、コロッケに適しており、つぶして作るいももちやハッシュドブラウン、パンケーキ、お好み焼きなどが容易に作れますが、「男爵薯」よりかなり煮くずれしやすいので煮物には不適です。蒸し時間は「男爵薯」より短くてすみます。還元糖がやや多いため、チップやフレンチフライには向きません。ビタミンC含量は「キタアカリ」より少なく、「男爵薯」及び「ホッカイコガネ」よりも2割程度多い。グリコアルカロイド含量及び曝光による増加は「男爵薯」並です。
澱粉の粒径は「紅丸」より小さく「コナフブキ」よりやや小さい。リン含量は「紅丸」より多く「コナフブキ」よりわずかに少ない。糊化開始温度は「紅丸」より高く「コナフブキ」より低い。最高粘度は「紅丸」より高く「コナフブキ」並で、ブレークダウンは「紅丸」及び「コナフブキ」より小さい。最高粘度時温度は「紅丸」より低く「コナフブキ」よりやや低い。
(6)栽培上の注意
北海道一円に適する。
・疫病の初発生が遅れ、生育後半の茎葉罹病により塊茎腐敗が増加することがあるので、疫病防除は後半まで行う。
・施肥量・栽植密度に対する反応は、多肥による過繁茂が少なく増収の傾向があるが、茎が軟らかく、倒伏や軟腐病、菌核病の発生の危険があるので、多肥栽培を避ける。
・赤皮のため、緑化いもの識別が難しいので、光を当てないように注意すること。
・食用として販売する際には適料理法を明示し、「煮くずれするので煮物には使わないよう」との注意書きをつける。
じゃがいも品種詳説 (2003年10月改訂)より抜粋
http://www.jrt.gr.jp/var/var.html
--
いづしんのすけ