まびき

夏になると南の海からやってくる魚達がいる。「まびき」（シイラ）も、黒潮の支流、対馬海流にのって宗像沖にやってくる。
「まびき」は淡白な魚で、洋風の料理がよくあう。フライやソースをかけたらそれなりに食える。（注１）刺身でも食えない事はないが、盛夏にとれる魚ゆえ新鮮なものにしたい。ただし刺身で食べても美味しくないのでお勧めしない。
「まびき」は群れで回遊する。障害物（浮遊物）につく性質があり、それを利用して漁をする。宗像沖ノ島近辺には、竹でくんだ筏が浮かべてあり、それについた「まびき」を網でとる。たくさんとれる事から「万匹」が「まびき」と名前が変化したという説もあるほどだ。おかげでとても安く市場に出回っている。
所かわれば品変わるで、ハワイで「まびき」は「まひまひ」と言われ高級魚となる。キハダマグロの２倍程度の値段でスーパーで売られていた。私はハワイの「まひまひ」は食べた事はないが、人に聞いた話によると日本と味は一緒らしい。味覚というのは不思議なものだ。

（注１）子供の頃から安いという理由で「まびき」ばかり食卓にのぼっていた。一番嫌いな魚だった。いまだに美味しいとは思えない。